アイデア出しの極意:ブレスト(ブレインストーミング)の楽しみ方
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ビジネスだけではなく、何か新しいモノを作ったり、コトを始めたりする際、そこには“アイデアの創出”が必要です。
既にあるモノ(コト)を真似て作り出すこともありますが、それはそれで真似るという行為自体もアイデアの1つになります。丸パクリはご法度ですけどね。
今回は、アイデアを生み出す上で多くの人が実施しているブレスト(ブレインストーミング)について。
■ブレインストーミングとは
ブレインストーミングとは、集団でアイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法である。
要は皆で意見を出し合い、それぞれの意見を拡げて拡げて拡げまくることです。ただ、慣れていない人にいきなり「はい、んじゃーブレストはじめ!」と言われても、なかなか意見は出にくいですよね。大抵の場合、第一声をあげることはすごく緊張します。的外れな事言っちゃうんじゃないか、陳腐なアイデアしか出ない、レベルの低さを露呈するんじゃないか…等々、萎縮しちゃう人も多いのではないでしょうか。羞恥をさらけ出すような事はしたくないですよね。ブレストというものは、本来気さくなミーティングであるべきものなのに、コアアイデアを出すぞ!と何かしらの汚物が飛んでいきそうなほど鼻息荒くして挑むものではありません。ブレスト童貞・ブレストバージンの方々も気軽に参加できるのがブレストです。
なので、ブレストには暗黙の了解的なルールがあります。
■ブレスト4原則
①批判をするな
上で述べた羞恥心を即つぶします。他人の意見を批判してはいけません。批判があると良いアイデアは出にくくなります。
②自由奔放
こんなことを言ったら笑われないか、などとは考えず、思いついたことはドンドン言う。ジョークは大歓迎。笑わすぐらいの覚悟で言っちゃいましょう。たとえスベったとしても、「あ、これは(横の席の)●●さんが言ってたことなんすけどね♪」と付け加えれば大概乗り切れます。
③質より量
意見の質などあとでまとめて考えりゃいいです。とりあえずホワイトボードに書き切れなくなるぐらいまで意見を出しましょう。終盤になるとネタが尽きてきますが、尽きてから振り絞ったアイデアから何か生まれるという事も多々あります。たとえそれがしょーーーーもない意見だったとしても、右隣の人のせいにしましょう。
④他者発言から連想大歓迎
他人の意見を聞いてそれに触発され、連想を働かせ、あるいは他人の意見に自分のアイデアを加えて新しい意見として我が物顔で述べるのは大歓迎です。ブレストの場では、他人の意見をパクって美化することは許されます。普段万引きしたくて堪らない人はブレストに参加して日頃のストレスを解消しましょう。右隣に頼りすぎたら左隣がヤキモチを妬くので左耳に意識を集中しましょう。(逆でもいいですよ)
以上がルールです。
とはいえ、自由に意見を出し合うといっても、チキンな童貞・バージンはなかなか意見が出ないことでしょう。そんな時には<順番BS>をしてみましょう。
■順番BS
・発言の順番がまわってきたら必ず何か言わなければならない。「特にありません」、「前の人がいったのと同じなのでありません」はご法度。
・発言内容は一度にいくつあってもよい。ただし、他の参加者が言った意見を繰り返すだけはNG
・自分の前にメモ用紙を置き、他者の発言を聞きながら思いついたことをメモしておくとよい。順番がまわってきたら、このメモを参考にしながら簡潔な発言を心がける。
・発言は最低3巡はする。
・グループ内で司会と記録係各1名を選ぶ。記録係は、参加者の発言内容をカードに記載する。
■質疑応答BS
上記の手順である程度意見が集まったら、次はアイデアの深堀をする工程に移ります。それが「質疑応答BS」です。順番BSで出た意見ひとつひとつについて「この意見について何か疑問の点はありませんか」と参加者に聞いていきます。より具体的には、以下のようなことをめざします。
①すでに出た意見の意味をはっきりさせる。
②もとの発言者が、なぜそのようなことを言ったのか、など発言の背景を明らかにする。
③こうした質疑応答・対話のなかで新しい意見・アイディアを生み出す。
④批判ではなく、討論素材をさらに加えることが目的。反対意見があったら、それも意見としてカード化する。
以上のような「質疑応答」のなかで、アイディアを記載したカードをさらに増やしていきます。
大まかな流れとしてはこのような感じです。もっとステップを踏んでいくと、KJ法、デプスインタビューなどがありますが、適当にググってください。
「アイデアを出す」と聞くと、0から1を生み出す、まだ世の中に出ていない新規のアイデアを作り出す、とハードル高く思われる方が多く見受けられますが、かの有名な広告業界のバイブル「アイデアのつくり方」でジェームス・W・ヤング氏はこう言っています。
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである
つまり、(新しい)アイデアの種は過去にしかないのです。それが自分の過去なのか、他者の過去なのか、社会の過去なのかはわかりませんが、その既存の要素の新しい組み合わせを作ることが「アイデアをつくる」ということになります。絶対的に新しいものなど存在しません。「過去の何か」と比べ、類似がない時に初めて「新しいもの」として認定されます。
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人間、失敗や失言はつきものですが、それを否定するのではなく肯定して意見を出し合い、和気藹々とした意見交換できる場がブレストです。もちろん、ビジネスをする上ではただただペチャクチャ喋るだけでは無意味なので、課題を解決するためのアイデア出しという共通認識を持った上で臨むべきですが、その場で解決しようと気構えるのではなく、広----い土地にアイデアの種をばら撒くといった感じですかね。種を撒かないと花は咲かないですし、種に水や肥料を加えないと成長はしません。花を咲かすための第一歩を踏み出しましょう。
(なんか最近締めの言葉がポエム化してるな)